17枚目

アポリア

アポリア

初期衝動を具現化する。一人の人間が芸術家として踏み出す瞬間であり、音楽史を振り返っても、数々の歴史的名作が産まれた作曲手法の一つと言っても過言ではない。それは多感な成長期を音楽と過ごす恵まれた環境とある種の作曲という初体験の快楽に溺れた脳が覚醒したことによる結果だと思う。
メレンゲのそれは凄まじかった。キラキラした輝きと純度の高い透明度は若さという武器を最大限に発揮した必然の産物だった。爆発的な初期衝動は多くのリスナーを惹き付けたし、メレンゲの世界というものに対して正面から向き合わせた。
バンドの顔でもあるクボケンジ氏は他アーティストのプロデュースも成功しており、作曲家として素晴らしいセンスを持っているが、まだまだ初期衝動から脱却途中にあるように思われる。様々な表情を持ち始めたメレンゲに期待したい。